『キョウトクラフトシロップカンパニー』のシグニチャーブランドである『Toulo(トウロ)』。2024年10月6日の正式発売に先立ち、発売記念イベントが10月3日に京都珈琲焙煎所 旅の音で開催されました。
Touloを使ったカクテルと数々のフードや、当日開催されたTouloの楽しみ方を最大限に高めるトークセッションの様子を中心に、クラフトシロップの新たな可能性や魅力についてお伝えいたします。
シロップの新たな可能性を提案する、京都生まれのシンプルシロップブランド
キョウトクラフトシロップカンパニーは、2024年にスタートした京都発のクラフトシロップブランドです。そのシグニチャーブランドとなる国産の砂糖のみを使ったシンプルシロップ『Toulo(トウロ)』は、コーヒーやカクテルはもちろん、お料理に、スイーツに、組み合わせ次第でその楽しみ方が無限大となるシロップです。
厳選した素材を使用し添加物をできるだけ使わず、それでいて手の届きやすい価格のものを手作業でつくることにこだわった上質なクラフトシロップを、世界へと届ける。これがTouloの思いです。
シロップ業界は世界で約7兆円の市場規模があるにもかかわらず、日本生まれのシロップを目にする機会はほとんどありません。また、世界では調味料や嗜好品と同じように生活の一部として浸透しているのに、日本においては一部の愛好家にのみ好まれるアイテムにとどまっています。
そんな背景から、これまで旅の音がOEMを中心に行ってきたシロップ製造のノウハウを活かし、日本から世界へ挑むシロップブランドとなることを目指しています。
シロップの楽しみ方を提案。Touloを使ったカクテルとケータリング料理
Touloの持つ未知数の可能性とシロップの楽しみ方をもっとたくさんの方に知っていただくため、元バーテンダーの経歴を持ちTouloの生みの親でもあるキョウトクラフトシロップカンパニー取締役の久保さんによる、Touloを使った3種のカクテルをご用意しました。
<Touloを使ったカクテル>
- Toulo ティーソーダ
紅茶と『Brown』を合わせてソーダで割った、甘くて飲みやすいカクテル。ノンアルコールでもお楽しみいただけます。
- Toulo ブラウン ラムリッキー
ラムと『Brown』を合わせてソーダで割った大人なテイストのカクテル
- Touloネバダ ツイストは、『Clear』とラムを合わせ、グレープフルーツジュースで割ったフルーティーなカクテルです。
それぞれカクテルの風味を最大限に活かすシロップを選び、すっきりとした甘みと、透明感があり雑味のないシロップの味わいをシンプルにお楽しみいただけるカクテルをご提供いたしました。
会場の真ん中に飾られた色鮮やかなお料理の数々は、京都の出張ケータリングカレー『森林食堂』様によるケータリング料理です。
Touloはドリンクだけでなく、お砂糖の代わりに風味漬けや隠し味としてお料理にも活用していたけるシロップ。そんなTouloの持つ可能性を最大限に活かし、料理や食材の持つ風味や良さを引き出すお料理をご提案いただきました。
実際に使用感について、「さっと混ぜ合わせるだけでお料理に馴染んでくれたのですごく使い勝手が良かったです。一般的なお砂糖では出すことが難しい、優しい甘さが簡単にプラスできました」と教えていただいたのは、このお料理をで準備いただいた森林食堂のオーナーの堀さん。
牛すじなどの煮込み料理には、お砂糖を一切使わずに『Dark』のみで味付けを。お肉料理やマスカルポーネクリーム、りんごのジャム、ガトーショコラなどのスイーツには、甘みと風味のバランスが良い『Brown』を使用するなど、お料理に合わせたTouloをチョイスしていただきました。
また、森林食堂様の特製カレーに使われた角煮にもTouloの『Brown』を使用していただきました。こちらも甘味はTouloのシロップのみ。香り高いカレーの風味にまろやかな甘さが足され、豚肉の旨みが引き出されている絶品のお味でした。
トークセッション『シロップがもたらす生活の豊かさ』
イベントの中盤では、博報堂にてクリエイティブディレクター等幅広いプロジェクトに携わり、人間の味覚の拡張をテーマに実験的なガストロノミカルプロジェクトを行う「COOQ(クック)」を主宰するなど、食や嗜好品の味覚の研究で幅広く知見を持つ木村元紀さんをゲストに迎え、キョウトクラフトシロップカンパニー取締役・久保さんとのトークセッションを開催。「シロップがもたらす生活の豊かさ」をテーマにお話しました。
まずは、Touloが生まれたきっかけから。
かつてバーテンダーの世界大会を目指すほどの腕前だった久保さんは、当時日本で使われているシロップの大半が、いわゆる“ガムシロップ”とよばれるものであることに疑問を持っていました。自身の考案するカクテルに合うような、納得のいくシロップがなかなか手に入らず、自らシロップを作っていたという経験から、代表の中野との雑談のなかで「自社でシンプルなシロップを作るのはどうか」と発します。
その言葉をきっかけに話は進み、世界のシロップ市場に切り込んでいく日本発のシンプルシロッププロダクト『Toulo』が生まれました。
久保さんの経験では、味(味覚)を表現する際には甘みや酸味、塩味などの要素を「奥行き」という言葉で表し、さらに香りや風味が重なって「高さ」や「幅」という言葉で味の深みを表現するそう。なかでも、味をきちんと構成する上で「甘み」は必要なものであり、「甘味をベースに、味の構造がバランスよく満たされていないときちんと表現できないと考えています」と語ります。
Touloに使用している3種類の砂糖は、適度にコクがありながらも匂いや風味のクセが少ない北海道産のてん菜糖と、徳島県産の和三盆糖。さらに、『BROWN』と『DARK』にはしっかりした甘みとコクを加えるために、奄美大島産の粗糖を使用しています。砂糖はほとんどの品種が無味無臭ですが、和三盆だけがわずかに香りの要素を有しています。Touloでは、甘みに加えてこの和三盆の香りに目を向け、3種類の豊かなシロップの風味を実現しようと考えました。
そんな和三盆の香りを「いい意味で草のような青さを感じる」と表現する久保さんに、木村さんも深く頷きます。
実は砂糖の原料は大きくわけて2つあり、お馴染みの「さとうきび」以外に、てん菜(砂糖大根)が砂糖の原料になるのだそう。
主に北海道や東北地方を中心に寒冷地で栽培されている砂糖大根に対し、さとうきびは沖縄や鹿児島など温かい地域を中心に栽培されています。日本の北と南、全く異なる場所で栽培されているてんさい糖とさとうきびが、形を変えてひとつのシロップの原料として使われているという、さまざまな商品開発経験のなかで味覚を追求してきた木村さんならではの面白い着眼点で会場は盛り上がりました。
味覚の研究に長く携わってきた木村さんは、「料理や飲み物において甘みを表現することは“命題”だ」といいます。そんな木村さんから久保さんへ「甘みとどう向き合ってきたのか」という質問が投げかけられました。
久保さんがバーテンダーを始めた20年近く前は、カクテルやアルコール飲料は総じてドライ傾向でしたが、今と変わらず味のバランスにこだわったカクテルを作ることにこだわり続けたそうです。そんななか、当時挑んだバーテンダーの大会にて審査員をされていたフランスのリキュールメーカーの社長が、久保さんの作ったカクテルだけが昨今の流行に問われることなく、甘み・酸味・アルコールの度数というお酒の味を構成する3つの基本的な要素を満たしていたと話してくれたそう。
こうした経験から、流行り廃りではなく甘みに重きを置いたバランスを追求することにより、新たな味が生まれることを知ったといいます。
この話には木村さんも深く同調し、「ビールもそうだったんですよ」とご自身の経験を振り返ります。
「仕事柄、味覚のトレンドを追わないといけないけれど、ワインやシャンパンなどお酒全般において日本では長く辛口が好まれる傾向。「ドライ」と呼ばれるものが数十年売れ続ける非常に痩せ細った市場だったんです」
一方で、日本は、料理にも甘味を使う、非常に特殊な文化を持つ国です。甘みにこんなに親しんでいる国は少なく、だからこそ日本におけるシロップは可能性を秘めていると語ります。
Toulo/Clear
最後に、来場者から今後のビジョンについて聞かれると、「日本にあるものや日本ならではの素材を使い、ナチュラルなフレーバーを加えたコーディアル(ハーブやフルーツをシロップに漬け込んだもの)に挑戦したい」と久保さんは答えました。
そして、「Touloが生まれたことで、昔のようにカクテルのレシピがたくさん思いついて、今めちゃくちゃ楽しいです」とトークセッションを締めくくりました。
今回のイベントは、Touloのいろんな楽しみ方を知っていただくこと、クラフトシロップがもたらす豊かさと日々の生活のなかでの“淑やかさ”を感じ、新たなムーブメントを起こしていきたいという、キョウトクラフトシロップカンパニーの思いが詰まったイベントとなりました。
今後もsuuでは、自社ブランドやプロダクト、プロジェクトを通し、ふとした日常のなかにある豊かで淑やかな時間を提案していきます。
■Toulo ブランドホームページ
https://www.toulo.jp/
■Toulo クラフトシロップの購入はこちらから
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